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佐賀県産豚>JAさがの“実験農場”でSPF豚を育てる。

佐賀・天山の山麓にある農場は、標高600m。 澄んだ空気と美しい山々に囲まれる“天空の農場”です。そしてここには“実験農場”という横顔も。緻密な計画と管理のもと豚の飼育を手がけています。

[生産者インタビュー]

佐賀県 富士町

佐賀県農業協同組合 畜産酪農部 園田 武志さん

徹底した防疫管理のもと、JAさがの豚を追究。

佐賀県農業協同組合が、2008年4月に完成させた、富士天山ファーム。高原地帯に位置する農場の周辺には、遮るものがなく山々の尾根が続き、まさに“天空の農場”といった雰囲気です。

のどかな光景が広がる富士天山ファームですが、JAさがが高品質な豚肉を追究するために研究を重ねる、“実験農場”としての顔も持っています。マニュアルに基づいて徹底管理された環境、独自に開発する餌、そして育て方へのこだわりを、佐賀県農業協同組合の園田武志さんに伺いました。
まず「防疫のために、豚舎の中にはごく一部の関係者しか入れないんです」と申し訳なさそうな園田さん。取材のスタッフといえども、豚舎に入ることはできません(だから、今回のレポートは写真少なめです。ご理解ください^^)。

日々の管理も徹底していて、10数名の従業員のみなさんも、豚舎に入る前には毎回、全身をシャワーで入念に洗浄しています。敷地に入る車や機材にも消毒がかかせません。また、48時間以内にほかの養豚場へ行った人は入場できないという“48時間ルール”もあるそうです。

徹底しつくされた防疫体制に、「はい。防疫は、やってやりすぎることはありませんから!」と、園田さんは胸を張ります。

風を感じながら、のこくずマットでくつろぐ豚。

ということで、遠くから眺める豚舎がこちらです。

緑の山々から運ばれてくる新鮮な空気。平地に比べて5度ほど低い気温を保てる地形。デリケートで、夏の暑さに弱い豚にとって、この上なく快適な“家”なのではないでしょうか。園田さんも「私たちが最もこだわっているのが、このような立地も含めたよりよい環境づくりです」と、“実験農場”としての取り組みを教えてくれました。

豚舎は、下界と直接接する開放豚舎で、カーテンの開閉により温度や湿度、換気を調整します。豚がよろこぶ、自然の風や新鮮な空気をたっぷり取り入れることができるそうです。格子の向こうには、豚たちのピンク色の背中が見えますね。

加えて、環境づくりのひとつに挙げられるのが、大群飼育方式と呼ばれる飼育法です。従来型の養豚場では、一定の仕切りごとに数10頭の豚を飼育するのが一般的です。しかし、富士天山ファームでは仕切りを設置していません。さらに、約420頭の豚が、広々とした豚舎の中で自由に動ける環境を整えています。「広い豚舎でのびのびと育った豚はストレスが少ないし、運動によって身の締まりもよくなります。」

豚舎の床にも注目です。のこくず(おがくず)をフカフカしたマットのようにたっぷり敷き詰めているのです。

こののこくずが豚の糞尿をしっかりと吸収し、定期的な入れ替えもしやすいため、常に清潔さを保てるそうです。園田さんから見せていただいた写真にあった、どてんと寝そべる豚たちのしあわせそうな顔といったら、もう!かなりリラックスして過ごしているようです。

使用後ののこくずは発酵させて、たい肥づくりに利用。処分費もかからず、たい肥の生産ができ、一石二鳥のシステムです。

特定病原菌5種をもたない、SPF豚です。

富士天山ファームで飼育している豚は、SPF豚です。SPF豚とは、5種類の特定疾病の病原菌を持たない健康な豚のことです。病原菌を持たないということで、前述のような徹底した管理が必要となります。

肉は自然なピンク色で脂がさっぱりしているのが特長。現在ではCO・OPでも主流になりつつある豚なのです。

【SPF豚が持たない、5種類の特定病原菌】
1/オーエスキー病 2/萎縮性鼻炎 3/マイコプラズマ肺炎 4/豚赤痢 5/トキソプラズマ感染症

研究を重ねた餌で健康を守り、より高品質を目指す。

JAさがの養豚の“実験農場”としての役割も担う、富士天山ファーム。どうすれば、健康でおいしい豚が育てられるのか?と、独自の餌の研究も重ねられています。

園田さんに聞くと「飼料は、北九州くみあい飼料で作った専用のものを選んでいます。生後40日までの子豚には、主に脱脂粉乳が含まれる人工乳を与えます」。生後40日以降になると、血や肉、骨の基礎を作るために、たんぱく質を多く含む餌を与えます。「具体的には、とうもろこし、大麦、小麦、大豆粕に、魚粉も入っていますよ」。

その後、肥育時期を迎えると、いい肉として完成させるために、飼料の配合を変えていくそうです。「たとえば、とうもろこしは、脂を甘くするのに欠かせません。肉を引き締めるために麦を混ぜることありますし、成長に合わせた餌の配合も研究されています」。

この徹底した管理は、豚が出荷される時まで発揮されます。「豚の微妙な成長具合によって、肉のおいしさに差が出ます。富士天山ファームでは、最もおいしい瞬間に、肉として出荷するため、毎日豚を体重計で量っているんですよ」と園田さん。

しかし、毎日豚を体重計に乗せるのは、豚と人間の双方にとって大変なのでは?「そこで、富士天山ファームでは、オートソーティングシステムを採用しています。豚たちが餌を食べる前に通る場所にシステムを設置し、通過する際に体重計で量るのです。出荷に適正な体重となった豚は、そのまま出荷準備の豚房へ移動させるんですよ」。気づかないうちに体重を量れるオートソーティングシステムで、デリケートな豚たちのストレスを少しでも軽減しようとする試みです。

このように徹底したマニュアルがつくり出す心地よい環境で、健康に育ったJAさがの豚。さらなる実験や研究はこれからも重ねられ、そのおいしさは、まだまだ進化を続けます。

 ※このページの情報は2013年取材当時のものです。
  作成時から情報が変わっている場合があります。

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